JSTQBシラバスに出てくる「ヒューリスティック」とは何ぞや

JSTQBのテストアナリストやアジャイルテスターのシラバスで、「ヒューリスティック」という言葉を見かけて意味が分かりにくかったので、自分なりにまとめてみます。しっくりくる日本語がないので、英語のままにした方がよさそうな単語ですが、いきなり出てくると意味がとらえがたい単語ですね。

ヒューリスティック(heuristic)の辞書的な意味

Google先生に聞いてみたところ、以下の意味になります。

enabling a person to discover or learn something for themselves.
(人が自分で何かを発見または学習できるようにします。)

()内は私の訳なので、間違っていたらすみません。
語源は何だろうと調べてみたところ、ギリシャ語由来らしいです。これまたGoogle先生情報です。

early 19th century: formed irregularly from Greek heuriskein ‘find’.
(19世紀初頭:ギリシャで「見つける」を意味するheuriskeinから不規則活用された)

ちなみにアルキメデスの「エウレカ!」と同じ語源のようです。
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こういう豆知識が好きなので個人的にテンションがあがりますw
雰囲気としては、経験などから発見して学習する、みたいな意味合いになるでしょうか。

ヒューリスティックという言葉が出てくる分野

ざっとググってみた感じ、心理学、教育分野、IT、証券などで出てくるようです。人の心の動きに関わるものなので、人間のかかわる活動全般に出てくるということかと思います。「経験から学ぶ」といういい意味でも使われるし、「経験に縛られる」という悪い意味でも使われるようです。

JSTQBテストアナリストで出てくるヒューリスティック評価法とは何か

テストアナリストのシラバスでは、使用性テストの文脈で出てきます。該当箇所はこちら。

ヒューリスティック評価(使用性に関するユーザインターフェース設計の体系的なインスペクション)は、設計における使用性の問題を発見するのに使用できるので、イテレーティブな設計プロセスの一部として使用できる。
(4.2.4.2 使用性テストの詳細 p44)

ユーザビリティの専門家が対象となるシステムを見て、経験則に基づいてUI上の問題点を発見する手法だそうです。専門家ではなくても、あらかじめ用意されている観点があるので、それに沿って評価できます。あらかじめ用意されている観点としては、ヤコブ・ニールセンのユーザビリティ10原則が有名です。原題は「10 Usability Heuristics for User Interface Design」です。ヒューリスティックという言葉が出てきてますね。
詳しい内容はこちらのサイトで確認できます。
www.nngroup.com

JSTQBアジャイルテスターで出てくるヒューリスティックとは何か

アジャイルテスターのシラバスでは、探索的テストの文脈で出てきます。該当箇所はこちら。

テスト時には、一連のヒューリスティックを適用できる。ヒューリスティックは、テストの実行方法と結果の評価方法についてテスト担当者をガイドする [Hendrickson]。たとえば、次のようなものがある。
A set of heuristics can be applied when testing. A heuristic can guide the tester in how to perform the testing and to evaluate the results [Hendrickson]. Examples include

  • 境界
  • CRUD(作成(Create)、読み取り(Read)、更新(Update)、削除(Delete))
  • 構成のバリエーション
  • 中断(ログオフ、シャットダウン、再起動など)

(3.3.4 探索的テストとアジャイルテスト p44)

最初の説明部分の文章は、分かりやすくするために英語版を併記しました。「A set of heuristics」と書かれているので、ここでは「経験則一式」くらいの意味で書かれているのだと思います。

以上、JSTQBの文脈で出てくる「ヒューリスティック」についてまとめてみました。何かの参考になれば幸いです。

参考

こちらのサイトや書籍を参考にいたしました。
ヒューリスティック評価
https://u-site.jp/usability/evaluation/heuristic-evaluation/
・ユーザーエクスペリエンスの測定