アスペルガー症候群とソフトウェアテスト

このエントリーは、Software Test & Quality Advent Calendar 2011の24日目です。


http://atnd.org/events/22833


前の23日目は@aods1004さんの


開発者がテスト技術を学ぶべき理由」と


@softestさんの


技と術と芸で考えるソフトウェアテスト


でした。


今日はちょっと趣向を変えて、「ソフトウェアテストアスペルガー症候群」という切り口で書いてみたいと思います。なんでもありということなので、こういうのでもいいですよね?


最近は、ソフトウェアテストアスペルガー症候群の人が持つ特性との相性が注目され始め、アスペルガーに限定して採用を行う企業もあるようですね。


アスペルガー症候群とは?】


まずはアスペルガー症候群についてWikipediaから簡単に紹介します。

アスペルガー症候群アスペルガーしょうこうぐん、Asperger syndrome: AS)またはアスペルガー障害(アスペルガーしょうがい)は、社会性・興味・コミュニケーションについて特異性が認められる広汎性発達障害である。
(出典:Wikipedia

この『コミュニケーションについて特異性が認められる』ために、就労という点で苦労する例が多いようです。たとえば、「空気を読む」というのが苦手なので、それは言ってはダメだろうということを言ってしまったり、上司が細かく具体的に指示しないと上司の意図とかなりずれたことをしてしまったりと周囲とうまくコミュニケーションが取れないという事象があげられます。


アスペルガーソフトウェアテスト

一般にアスペルガー症候群の人とITというのは、相性がよいそうです。
それはアスペルガー症候群の人が多く持つ「細部に対するこだわり」や「反復作業との相性の良さ」とIT技術がうまくマッチするから。(個人差がるので一概には言えません)
自らもアスペルガー症候群であることを公表し、アスペルガー症候群に関する執筆や講演を行っているTemple Grandin氏は以下のように言っています。

アスペルガー症候群とITとの間に相関関係はあるのか──。もしアスペルガー症候群というものが存在しなければ、コンピュータは誕生しなかっただろう。“ギークGeek)”や“ナード(Nerd)”とは、要するに軽度のアスペルガー症候群のことだ。アスピーズの関心は、人ではなくモノに向けられている。そしてモノに関心を抱いた人たちが、現在われわれが使用しているコンピュータを作ってくれたのだ」(Grandin氏)

(出典:業界動向/111349/IT業界で闘う“アスピーズ”


また、アスペルガー症候群の人に雇用を通して自身の可能性に気付く道を提供することを使命として設立されたアメリカのNPO団体・AspititechはHPの冒頭で以下のように述べています。

"we harness these individuals' unique abilities  attention to detail, precision, an affinity for repetitive tasks, outstanding technology skills  to provide competitively-priced software testing services."

(私たちは、アスペルガー症候群の特有の能力―細部への拘り、正確さ、反復性のある作業への相性の良さ、目覚ましい技術スキル―を価格競争力のあるソフトウェアテストサービスと結び付けようとしています)


Aspiritechホームページ
http://www.aspiritech.org/


アスペルガー症候群の人を雇用している企業】
・株式会社Kaien(日本)
http://www.kaien-lab.com/


発達障害を持つ人への就労支援サービス、企業向けのコンサルティング発達障害を持つ人にどうしたらうまく働いてもらえるかなど)サービスを行う日本で唯一の会社です。上で触れたAspiritechの設立の際にも協力したそうです。


・Specialisterne(デンマーク
http://specialisterne.com/


OracleMicrosoftなどを顧客に持ち、一年目から黒字経営を達成するなど、アスペルガー症候群の人を多く雇用している企業で世界で最も成功している企業のように思います。(Specialisterne Denmarkの社員の75%がアスペルガー症候群)紹介文では以下のように述べています。

"Specialisterne Denmark, which translates from Danish as “the specialists”, is a social innovation company providing IT consultancy services, where most of the employees are people with autism."

デンマーク語で「スペシャリスト」を意味する「Specialisterne」は、ITコンサルティングサービスを提供する社会的技術革新企業です。社員の多くがアスペルガー症候群です。)


現在、支社がオーストリアアイスランド、スイス、イギリス、アメリカにも拡大している様子。


上にあげた企業はいずれも一つの特徴を持っています。それは創業者のお子さんがアスペルガー症候群を持っているということ。「何とかしてお子さんに社会貢献の道を持ってほしい、それがアスペルガー症候群を持つ人の生き甲斐にもなるはず」という思いから会社を設立されています。
アスペルガー症候群の方にとってはよい雇用の機会になったり、ソフトウェアテスト業界にとっては優れた能力を持つ人を採用できて発展に繋がったりというよいサイクルになれば素敵だな、などと思っています。


【参考サイト】
広がりを見せる自閉症者ソフトウェアテスター育成プログラム
http://developers.slashdot.jp/story/11/10/08/1155232/


アスペルガー症候群の人を 雇用するために ※リンク先はpdfファイルです。
http://www.nivr.jeed.or.jp/download/center/support03.pdf