そうだ、高野山行こう -金剛三昧院の宿坊-

せっかくの高野山なので宿坊に泊まります。今宵の宿坊は金剛三昧院。

奥の院で色々なお墓に目移りし過ぎて、連絡していた時間を過ぎてしまいました。
お坊さんが門前で待っててくださって、お待たせしてしまい申し訳なかったです。宿坊だけあって「ようこそお参りくださいました」と迎えてくださるのがよいですね。こちら金剛三昧院は世界遺産です。つまり世界遺産に泊まります!初の経験!

予約はネットで済ませてあるので、さっと確認の後、係のお坊さんが部屋まで案内してくださいます。寺部分と宿坊部分は木造の渡り廊下で繋がっています。風情ありますね。

お部屋は何だかおばあちゃん家な感じで、扇風機が近頃の白っぽいやつじゃなく、金属製の網に青い羽根のやつでした。

部屋備え付けの書物は当然仏教聖典ですよ!日英対照のところがまたいいですね。

一つ誤算だったのは、金剛三昧院が少し外れにあるせいか、携帯の電波の入りが悪かったことです。玄関あたりは普通に入りますが、自分の泊まってた部屋は圏外!ymobileは期待してなかったけど、docomoで圏外なのには驚きました。電波がないとなんとなく不安になる方には、表通りに面した宿坊に泊まることをお勧めします。あと、内鍵はかかりますが、ルームキーはない(外からは鍵をかけられない)ので、そういうのが気になる方も設備に力を入れてる宿坊を探した方が良いと思います。昔ながらの宿坊とか、世界遺産に泊まれるとか、国宝や重要文化財の側で寝られるということにドキドキできる方には本当お勧めです。

夕食は精進料理です。

17:45からと、普段の生活を考えると早めの時間ですね。ただお寺の生活リズムを考えるとこんなものかと。お坊さんが部屋まで持ってきてくださいます。配膳の時に参拝記念に数珠守りと火事除けのお札を頂けます。

ご利益ありそう!金剛三昧院の多宝塔は創建当初の姿を留めている、つまり800年火事にあってないんですよ。

さて精進料理のお夕食は二膳とデザートからなる構成で、当然肉も魚も使われておりません。あと玉ねぎなどの匂いの強い野菜もダメらしいです。名物の胡麻豆腐がつるっともちっとしてて美味しかったです。胡麻豆腐って、てっきり豆腐の一種だと思ってたのですが、実は全然別物だそうです。胡麻豆腐は胡麻を練って葛で固めたもので、加熱すると溶けます。初めて知りました。揚げ物や煮物も上品な薄味で美味しかったです。煮物は高野豆腐入り。さすが高野山。歩き回ってお腹が空いてたので、お櫃(茶碗3杯分)を空にしちゃいましたけど、基本的に消化に良いものばかりなので、翌朝ちゃんとお腹が空きました。お膳を下げる時に、布団も敷いてくださいます。サクッとお風呂に入って、お土産とか調べて翌日の予定立てるか、と思ったら圏外w雨の中歩き回った疲れもあったので、早々に寝ました。翌朝の勤行に遅刻するわけにもいきませんし。

宿坊に泊まる醍醐味の一つは、朝のお勤めに参加できることです。6:15に館内放送でお勤めの時間を教えてくれます。BGMに声明が流れてました。どことなく、賛美歌と響きが似てる気がします。洋の東西問わず、祈りを捧げるメロディーって似たものになるのかな。勤行が行われる本堂は宿坊とは反対側、行く途中の部屋にある襖絵も美しかったです。

本堂に入ると既に何人かの方が待っておられました。正座に耐えられるか心配でしたが、椅子が用意されていて一安心。勤行は圧巻。清少納言がいい声のお坊さんが読経してるのっていいよね、みたいなこと枕草子で書いてましたが、まさにその通り。
読経がひと段落すると、お坊さんが位牌堂と御本尊の説明をしてくださいます。位牌堂は全国の信徒さんから位牌を預かっているそうで、入口以外の三方の壁にずらりと位牌が並んでいるのはなかなか壮観でした。鎌倉将軍家、足利将軍家や土佐の長宗我部家のものもあるそうです。ご本尊は源頼朝が運慶に造らせた愛染明王。前をカッと見据えてて、力強い感じがしました。本尊左には頼朝と北条政子夫婦の位牌、右には室町幕府初代将軍足利尊氏とその弟、直義の位牌。お寺の紋として引両紋(足利将軍家の家紋)が使われてるのは、菩提寺だったからだそうです。基本的に内部拝観はしてないようなので、こちらを見られるのは宿泊者の特権ですね。眼福です。

朝のお勤めの間に部屋に朝食を準備してもらえます。朝ももちろん精進料理。飛竜頭(がんもどきのこと)がお出汁がしみてて美味しかったです。

チェックアウトの前に境内を拝観。多宝塔、経蔵、六つ杉と、お寺の境内には鎌倉時代からずっと存在し続けているものが多数あり、歴史を感じます。少し外れにあるのが幸いして火事や落雷を免れたんですね。また、このお寺に弟子入りしてた天狗が火事から守ってくれているそうです。参拝記念に頂けるお札はこの天狗のです。
多宝塔は、しっかり建ってる感じがして、北条政子のイメージと被ります。近づいてみると、ちょっとあちこち修復した方が良さそうな感じがしました。

経蔵は校倉造だそうです。

東大寺正倉院に使われている建築様式です。正倉院以外で使われてるの初めて見ました。屋根の苔むし具合とか、杉に囲まれて静かに中の経典とかを守っている姿とか良いですね。

お寺を発つ前に、ちょっとばかり寄付。文化財を守るために使っていただければ幸い。
「ご寄付された方は、額の大小にかかわらず、お人形を一つお持ち帰りください」、とのことだったので、うめ吉をゲットしてきました。

なんだか珍しい旅の思い出です。