小早川隆景が普請奉行をつとめた「大徳寺黄梅院」

10月なのにまだ夏の気候ですが、京都の大徳寺黄梅院の秋の特別公開に行ってまいりました。私の地元の戦国武将である小早川隆景が普請奉行をつとめたお寺で、春と秋の特別公開以外は拝観できないので前々から行ってみたかったのです!

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小早川隆景の他、両親である毛利元就一門の供養塔もあるようです。塔は非公開のため、案内の石碑を撮りました。

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中はほとんどカメラNGのため、入ってすぐのお庭くらいしか撮れませんが、苔の美しい素敵なお庭です。
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靴を脱いで建物内に上がると、はじめは美しい回廊が出迎えてくれます。こちらは新しい建物の様子でした。

直中庭(じきちゅうてい)

回廊を進むと千利休作の直中庭というお庭をぐるりと拝観することができます。お庭については、係の方から詳しい説明を受けられます。枯山水のお庭で、瓢箪を模した池に二代目の和尚さんが比叡山から持ち帰られたという大きな石が印象的でした。ここも苔が非常に美しいお庭です。隆景公もこちらの庭を眺めたのかなと思うと、同じ景色を眺められてなんだか嬉しいですw紅葉が植わっていたので、色づいたらもっと美しいでしょう。

本堂

直中庭を過ぎると本堂が現れます。こちらも係の方が色々解説してくださいました。元々は織田信長が父・信秀のために建てた庵で、その頃は名を黄梅庵といったそうです。後に豊臣秀吉によって大きく改築され名を黄梅院と改めたのだとか。表側にあたる南には、旦那(だんな)の間、室中(しっちゅう)、礼(らい)の間があり、毛利家お抱え絵師の雲谷等顔の水墨画が襖絵になっています。襖絵はすべて重要文化財!本堂の建築自体も重要文化財

そして本堂か庫裡だったか忘れましたが、軒瓦に毛利家の家紋である一文字に三ツ星を見つけてテンションがあがりました。

破頭庭(はとうてい)

本堂の前には、破頭庭という枯山水のお庭が広がります。直中底は全面的に苔のお庭ですが、こちらは白川砂が手前半分くらいを占めています。白川砂は雲母や石英を含んでおり、光を反射して輝きます。明かりの乏しい昔は室内を明るくするための工夫でもあったんですね。白川砂に石英が含まれてる話は「ブラタモリ」で見たなーと思いながら解説聞いてましたw

お庭には大きな石が二つあり、それぞれ観音様と勢至菩薩様を表しているのだとか。メインの部屋である室中の本尊(確かお釈迦様だったはず)のお話を聞いて勉強されてるとのことでした。禅宗のお寺では旦那の間の前からお庭をみるのが一番美しく見えるそうです。旦那とは、お寺に大きな寄進をしてくださる檀家さんのこと、つまりスポンサー。スポンサーをお通しする部屋から一番美しく見えるようにお庭が設計されてるんですね。隆景公が通されたのも、きっとこちらなので、同じアングルで破頭庭を眺められたんだろうなと思うと嬉しいですw

作仏庭(さくぶつてい)

本堂と庫裡の間にあるお庭。小さい枯山水のお庭なんですが、後ろにある建物もうまく利用して滝と水の流れを表していて、すごく「技あり」という感じのするお庭です。個人的に、こういう一見シンプルなんだけど技あり、みたいなのはわりと好きです。

庫裡(くり)

小早川隆景寄進の建物です!隆景ゆかりの建物は現存しているものが少なく、訪問できて本当に良かったです!おそらく完成当初にはご本人もいらっしゃったのではないかと思うと、同じところを訪問できて感慨深いw庫裡とはお寺の台所のことで、黄梅院のものは現存している中では最古のものだそうです。往時は70人分くらいのごはんを炊いていたそうで、大きなお釜が残っています。黄梅院のものは使われていませんが、大徳寺塔頭の中には行事の際にお釜が現役で稼働するところもあるそうで。

庫裡に入ってすぐのあたりで、御朱印をいただけます。黄梅院の御朱印は決まったスタイルはなく、ご住職が御朱印を授与される人をみて一筆書いてくださるスタイル。私は仏様と母の慈悲についての歌を書いていただきました。

書院自休軒(じきゅうけん)、茶室昨夢軒(さくむけん)

はじめに千利休の師匠である竹野紹鴎作の昨夢軒という茶室があり、それを取り込むように建てられたのが書院自休軒だそうです。建て増ししてるので、ところどころ柱の高さが違ったりして面白いです。書院自体は本堂の一部です。書院は住職が普段過ごすところで、黄梅院住職と隆景公は親交があったそうなので通されたことがあるかもしれません。

こちらの書院や住職の生活や弟子の面倒を見る部屋を見て、黄梅院の拝観できる箇所は終了でした。要所要所に係の方がいらっしゃって、解説していただけるのが良かったです。人が少ないときであれば質問もできます。建物もお庭も見ごたえあって、機会があれば再訪したいです。

大徳寺

大徳寺は京都の北の方にあるお寺です。黄梅院などの塔頭の集合体が大徳寺と総称されています。アクセスは京都駅からだと、地下鉄烏丸線で北大路まで行ってそこからバスに乗るのが最短だと思います。京都は北に向かって標高が高くなっており、大徳寺の位置は、京都駅近くの東寺五重塔のてっぺんと同じくらいになるそうです。

千利休が帰依したお寺なので、茶室が本当に多いです。こちらは大徳寺の三門。


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解説の方からきいたところによると、京都の方は主要な寺に「〇〇面(づら)」というニックネームを付けているそうです。大徳寺のニックネームは「茶面(ちゃづら)」。茶室が多くて、今でも千利休の月命日にお茶会が催されているところから。面白かったのは妙心寺の「算盤面(そろばんづら)」で、檀家さんを増やすのがうまいところからきているのだとか。楽しい解説が聞けて、勉強になった旅でした!